友人のお母様が亡くなった。
病気と痴呆もあったお母さんをずっと介護してきた彼女は、お母さんは何もわからないから、自己満足の介護をしてきただけだと言う。日に日に衰弱するお母さんが亡くなる前に、彼女がどうしてもやっておきたかったことは、干し柿を作ることだった。お母さんの大事にしていた柿の木の、お母さんの毎年の手仕事だった。4人の子育てと、お父さんの介護もする多忙な中で、なんとか柿を吊るし終えると、数日後、お母さんは静かに息をひきとったそうだ。

友人とお母さんとの関係は、多々困難があったと聞いている。けれども大変な試練と葛藤の末、こうしてお母さんを穏やかに看取ることができたという。

お母さんと彼女の間に、柿があってよかった。
亡くなったのが干し柿の季節でよかった。
いろんな思いを受け止めてくれる柿の木があってよかった。